週刊少年ジャンプで連載中の
『あかね噺』、話題になってますね。
登場するキャラも立っているし、
ストーリーも起伏があって面白いです。
第4巻で、阿良川まいけるが
三味線を弾くシーンが登場します。
それがこちら。
拡大しました。
これは、楽器の描写として評価すると70点、
構えの本質から評価すると0点です。
楽器の描写として評価すると70点としたのは、
比較的丁寧に描かれていることに対する評価です。
乳袋はなきに等しく、天神ものっぺりしていますが
胴掛け、糸巻き、胴の湾曲している感じがうまく
描写されていると思います。
要するに、楽器はうまく描けているので
雰囲気をうまく掴めているように見える、
ということです。
ではなぜ構えの本質から評価すると0点なのか、
解説します。
×あぐらをかいている
これは一番ダメなところです。
三味線は四角く見えますが、太ももに置く部分は
湾曲しているんですね。そのため、滑ります。
一般的にはゴム敷きを太ももと胴の間に挟みます。
この絵では胴を太ももの付け根に置いているように見えますが、
これもよくありません。
なぜなら、胴には表と裏に皮が貼ってありますが、
音は表だけでなく裏側からも出ているからです。
この持ち方だと、裏から出ている音は身体にくっついていることで
消されてしまっています。
胴と身体を適度な距離に保つことで、裏側から出る音も響くのです。
×腕周りにアクセサリーをつけている
三味線を弾くときには、時計や指輪(リング)、チョーカーといった
アクセサリー類は外します。これは単純に演奏や構えの邪魔になるからです。
ギタリストで、アクセサリーをつけて演奏している人もいますが非常に稀です。
パッと思いつくのはスティーヴィー・レイヴォーン。
Stevie Ray Vaughan「Superstation」
スティーヴィー・ワンダー「迷信」のカバーです(2分あたりから)。
×右腕が胴掛けに乗っていない
湾曲した胴のデザインがどうしてこういう形で落ち着いたのかは
長い歴史もあるのでしょうが、正直よくわかりません。
では、こうした滑りやすい楽器をどうやって固定しているかというと、
右腕を使うんです。右腕を胴掛けに乗せて、右腕と太ももで
胴を挟むんですね。だから左腕を放した状態でも
棹が下がることは基本的にありません。
×左手の親指が寝ている
左手の親指は演奏で弦を押さえることはありませんが、
非常に重要な役割を果たしています。実際の演奏を見てみると、
棹に対してどの勘所を押さえても親指は棹に対して垂直になります。
これができてないと、構えがしっかりできていない証拠となります。
×人差し指、中指、薬指が寝ている
楽器を知らない人がやりがちなのがコレ。
三味線はフレットレスであること、絹糸をメインで使用することから
爪で弦を押さえます。そうしないと勘所が曖昧になるし、音も悪くなります。
×小指が遊んでいる
現代曲で小指を使う奏法はないとはいえませんが、一般的には
三味線を弾く場合には人差し指、中指、薬指の3つしか使いません。
小指が遊んでいると目立つため、少し丸めて目立たないようにします。
いろいろ書きましたが、この絵を見て感じたのは、
作画を担当した馬上鷹将氏は三味線の演奏や構えを知らず、
ギターと同じような感覚で描いていたのではないかということです。
これはあくまでも私の推測となりますが、
ギターならば身体にくっつけて構えることも多いし、
指の扱いも絵のような形でも問題ないからです。
私も昔は同じ弦楽器だから、ギターも三味線も
似たようなものだろうと思っていたこともありましたが、
実際には演奏方法や構えが全然違います。
たかだか1カットの絵にグダグダ言ってんじゃねーよという
声も聞こえてきそうですが、最近では結構アニメやマンガでも
頑張っているのが多くなってるんですよ。
興味がある方はこちらから関連リンクをご覧ください。
Extreme Hearts (エクストリーム・ハーツ) 橘 雪乃の三味線の構えが惜しい理由を解説します
うちの師匠はしっぽがない 第5話の三味線描写が頑張ってる!!
感動した!薄桜鬼黎明録 第9話の三味線奏者の描写が第5話より良くなってて感動した!
それでは、師匠のありがたいお言葉を持って〆たいと思います。
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