感動した!薄桜鬼黎明録 第9話の三味線奏者の描写が第5話より良くなってて感動した!

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第9話「放たれる剣閃」より。

前回、「薄桜鬼 黎明録〜三味線の構えがひどすぎて絶望した! (笑)」のエントリーを書きましたが、今回も小鈴が踊りを練習をしているシーン(第9話)を取り上げてみます。

小鈴の手さばきはなかなかのもの。
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今回注目するのは小鈴ではなくて、右にいる三味線演奏者です。
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感動した!
5話よりも描写がはるかに良くなってて感動した!

5話では、こんな感じで描かれていました。
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修正すべき点がいっぱい……。

でもって、こちらが9話。
解説すると、こんな感じになります。
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以下、簡単に説明していきましょう。
まずは良い点から。
○撥を正しく持っている
以前書いたエントリー「じょしらく・空琉美遊亭丸京による三味線の撥の持ち方がひどすぎて絶望した!」では、撥の持ち方が間違っていたことをしてきたところ、非常に多くの反響を頂きました。

こちらが丸京による三味線の撥の持ち方。右手の小指の場所が違いますね。
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では、黎明録第9話ではどうなのか。実に頑張ってて驚きました!
上の写真を見てください。きちんと描かれていますよ、こんなに小さな絵なのに!
しかも手元のアップでも、しっかりと正しい撥の握り方をしています。
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○右腕でしっかりと胴を押さえている
右腕を見ていただければわかりますが、胴の上にしっかりと乗っていて太腿と右腕でうまく挟み込んでいます。こちらも、じょしらくでは上手く描かれていなかったところです。
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丸京の右腕は、宙に浮いています。
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海老尾の描写がうまい
この絵を描いた方はかなりの手練れか、かなり資料を読み込んだのではないか、もしかしたら三味線を弾ける人なのかも、と思うくらい頑張ってます。もしかしたら、プロの演奏者の写真をそのままトレースしたのかも??
じょしらくのオープニングで描かれていた丸京の三味線の海老尾と比べても、描写力は段違いです。
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糸巻きの六角形がうまく表現されている
ちょっと細かいですが、演奏中に調弦を直すとき、手が滑らないようにする意味もあって糸巻きは角張ってます。丸いと滑りやすいので。この部分も、きちんと再現されてますね。丸京の三味線ではこの部分も省略されて、丸い棒が刺さったようになっています。

親指が棹に対して直角に近い形で描かれている
ここも細かいですが、きちんと描かれています。
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ここから、あまり良くない点、悪い点を説明します。

△棹の角度は低め
プロの演奏者でも、棹の角度は高い人もいれば低い人もいますが、女性の場合には力がないため低くなりやすい傾向があります。そのため、27度でも間違いとは言い切れませんし、実際、プロの演奏者でも27〜28度くらいの角度である人も多くはありませんが実在します。
ただ、理想を言えば、もう少し高い方が望ましいです。

×胴が膝寄りに倒れているので、胴と棹がまっすぐに見えない(棹の根本から身体側へ折れ曲がって見える)
三味線の胴は、太腿に接する下側は膝寄り、右腕が接する上側は身体寄りとなって、描かれている形とは逆方向に少し倒れる形になります。このイラストでは実際の構えとは逆になっていますので、棹の付け根から海老尾に向かっては身体側に傾いて見えます。本当は胴と棹は一直線なのに、胴が棹の外側に向かい、棹は逆に身体側に向かっているので、棹の付け根からVの字に曲がって見えています。 

×親指が撥の後ろに入っている
親指が撥の後ろに入っているように見えます。実際は、湾曲している部分に親指を当てているのが正しい状態です。恐らく、描いた人は正しい意図をくんで描いたけど、そうは見えなかっただけかもしれません。親指が隠れるように描かなければよかったと思います。手元のアップではしっかりと描かれていたので。
他にも、手元のアップでは胴掛けなのか、三味線の胴だけなのかよくわからない形だったり(色が違うので描いているんでしょう、と思いましたが、当時胴掛けをしていたかは不明)、右腕の下に滑り止めがついていたり(おそらく当時はこうしたものはなかったかと思われます)、根緒の形がちょっと変だったりしますが、

全体的に見ると、第5話よりもはるかに描画力が上がっていて、驚きました。

これだけベタボメするのも珍しいですが、撥さばきを見て一言。
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絶望した!
撥の上げ方がおかしくて絶望した! (笑)

やはりこの言葉がないと締まりませんね (笑)。

関西は地歌系が多いので、撥を余り大きく上げません。というのも、地歌は盲人演奏家が多くて、大きく撥を振り上げたはいいけど、弦に当たらずスカになる可能性があるためです。ただ、写真のように撥をある程度振り上げないと、三味線らしさが出てきません。
こちらが撥を上げたところ。
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そして、撥を振り下ろすとこんな感じになります。
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撥の上げ下げは、ギターのストロークと同じで、必ずダウンの前にアップの動きがある、と考えると分かりやすいかも。そのため、弦をはじく前には必ず撥を一度上に上げて勢いをつけるため、撥を上げずに弾いてしまうアニメの動きには違和感があります。
実はこういったシーンでは、手を抜こうと思えばいくらでもできるんですね。三味線奏者を描かず、小鈴だけにして三味線はBGMで流して「ハイ、おしまい」というのが一番簡単なのですが、きちんと演奏者を描いているのが素晴らしいと思います。絵描きさんの頑張りが伝わってくるようです。

京アニのように、具体的な楽器とか、シャーペンとか、カメラとかだったら形で何となくわかるんですが、三味線の構えとか楽器は、演奏している人でないとなかなかわからないので、日の当たる機会が少ないのですが、詳しい人が見れば一発でわかります。だから、詳しい知識を持っている人はもっと意見を言った方がいい、というのが私の見解です。
しかし、こういうエントリーを書くと、必ず「知識のひけらかしかよ」とか「いきがってんじゃねーぞ」というご意見をいただくのですが、これらについては反論済みですので過去のエントリーの書き込みをご参照ください。作品をディスるためではなく、もっと良くなればいいのに、という希望を持って書いてます。だから、今回は第5話よりも描画が素晴らしくなっていたのでしかるべき氷菓、いや評価 (笑)をしてみました。もっと、こうしたこだわりのある作品が出てくるといいですね。

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