女の子が野球をする、という「大正野球娘。」、
略して「たいやき」は時代設定が大正14年です。
第6話「球は広野を飛び回る」より。
アニメのオリジナルキャラクター、尾張記子(おわり のりこ)は
月映姉妹の友人で、新聞部員という設定です。
情報収集につとめる役柄で、新聞部員ということから
カメラを持ち歩いている模様。
で、こちらがそのカメラ。
えーどこどこ? って一瞬探してしまいました(笑)。
カメラは彼女の手の中(笑)。
特定は難しいですが、蛇腹カメラであるのは間違いないようです。
ネットで調べてみると、熱心がファンが機種を特定しようと頑張っている様子がうかがえました。
「大正野球娘。 まとめwiki」によると、
このカメラはパーレットである可能性が高いと書いてありました。
その理由は、ひとことでいうと「価格」。
この時期に出ていた同じような機種の中で、一番安くて手が届きそうだ、ということですね。
当時の価格はこんな感じです。
ベスト・ポケット・コダック/アナスチグマットf6.9付・・・48円
ピコレット/ネッターf6.3付・・・60円
パーレット/デルタスf6.8付・・・25円(出典)。
このパーレットは、合資会社小西六本店 (現・コニカミノルタ) が大正14年に発売したベスト判の蛇腹カメラです。
ベスト判は特殊なフィルムで、現在ではアカサカカメラか海外の通販でしか買うことができません。フィルム1本で12枚ほど撮影できて、1000円くらいします。
大正14年に出たモデルは、「Wollensak社の単玉(F11、75mm)」と「Wollensak社のDeltas、もしくはAplanat(F6.8、75mm)」を搭載しています(出典)。
この機種で撮影すると、どんな写真になるのか?
ちょうどいい本がありました。
写真家 新山清による『パーレット時代』です。これはオススメですね。
こちらにギャラリーがあります。素晴らしい写真の数々。
こんな小さなカメラでこれだけすごい写真が撮れるとは、驚きです。
撮影時期は大正時代ではありませんが、古き良き昭和の香りがします。
では、他にはどんな機種があったかを考えてみましょう。
すぐに思い浮かぶのが「ベスト・ポケット・コダック」(ベス単)ですね。
日本でも人気が高く、フードを外して撮影するとソフトフォーカスがかった写真が撮れるという裏技「ベス単フード外し」は、カメラ愛好家にはよく知られています。
それから、当ブログでも紹介したツァイス・イコンのピコレットがあります。
これは、1925年当時の広告。
ベスト判は入手しにくいので、35mmフィルムで撮影するノウハウを載せてあります(芳香剤じゃないよ! ツァイス・イコン ピコレット (Piccolette) 35mmフィルム化大作戦 その1〜35mm用に改造しよう〜のエントリー参照)。
パーレットも基本的には同じようなカメラなので、ピコレットと同じように改造できると思います。
大正14年のパーレットを手に入れ、35mmフィルムで撮影できるように改造し、
聖地巡礼に赴いていろいろな場所を撮影。そして当時の面影に思いをはせるの、というのもまた一興かと。
7話にもカメラが出てきますが、こちらもパーレットでしょうか?
レンズの下に、水平線が何本も入っています。
それから、6話にあったファインダー(レンズの右上の小さな丸ぽち)がありません。
あと、パーレットやピコレット、ベス単は本体が薄いので、蛇腹を繰り出さないと
こんな風に立てておくことができません。
しかし、これが6話と同じ機種だ、という根拠もいくつかあります。
当時はカメラはかなり高級品だったので、おいそれと何台も購入できないということ。
それから、シャッターチャンスを狙っているのですぐに撮影できるよう準備している、
などの理由です。
というわけで、ここではとりあえず6話と同じカメラを、蛇腹を引き出した形で置いている、と解釈しておきましょうか(笑)。
それから、公式ページに掲載されていたこぼれ話。
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(池端監督)「記子は、巴被害者の会・会長で、静が、副会長かな。」
(藤村さん)「記子は、なぜ巴に借金したんですか。借金してまで、何に使ったんですかね。」
(池端監督)「う〜ん、何に使ったのかは…。う〜ん、どうしても欲しかったんだよね、カメラが。我慢できなかったんだろうね。まぁ、そういう事にしておいて。」
たしかに、スコアボードの前で大事そうにカメラを持っている記子。真相はさておき、本当に細かいなぁ。
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